「 頼むから祝ってくれ 」












 
 
「ただいま―」
「「「おじゃましまーす」」」
「なんで僕が・・・・」
「もう諦めた方がよさそうだぞ」
 

9人を引き連れて一行がコアへ戻ったのは、廃倉庫街を離れてから1時間以上経ってからだ。
 
彼は、すでに溜まり場となりつつある元自宅の扉を開けた。
口々に挨拶をすると、返ってくる二つの声。
 

「おかえりなさい」
「お帰り一行・・・・って・・・けっ!!お前らは来なくて良いのにっつーか帰れ。去ね」
「今回は新顔もいるぞー。影時ってゆーんだけどな」
「どうも」
「おぅキャシー久し振りやのぉ。ほんで要。お前やっぱり可愛え〜vvv」
「要ぇぇっ!会いたかったぞ!!!」
「黙れガキ。年長者にはそれ相応の敬意を払え」
「えー要、俺より小っちゃいじゃん」
 

笑顔で一行を迎えた二人の人物。キャシーこと夕貴(ゆうき)と、要(かなめ)である。
 
が、要は一行の後ろに続く勇我と星覇を見つけた瞬間に、不快感をあらわにした。
声や口調をがらりと変え、見上げなければ目を合わせることの出来ない二人を
怯むことなく睨みつけて、立ち向かう。
 

「ほざけ。そのうち高くなるんだよ!絶対お前よりデカくなるからな!!!」
「ええ〜っ要ちゃん大きくなっちゃったらつまんないよ!そのサイズすっごい可愛いってvvv」
 

星覇の眼前に人差し指を突きつけて宣言した要に、夏日が反論する。
背後で、星覇と勇我がぶんぶんと首を縦に振って同意している。
 

「ね?」

 
頭を撫でて顔を覗きこむと、その一瞬で要の顔が朱に染まった。そして俯いてしまう。
 

「(かーわーいい――っ!!マジ可愛いって!!)」
「それ、私らに対する嫌味ですか」
「夏日さんは、そこそこあるんだから良いでしょうけど」
 

振り返り、要に聞こえないように口パクで、夏日が力説する。
それに応えたのは、脱ぎちらかされた上着を畳んでまわっていた二人の少女だ。
 

「や、やぁねぇ二人とも!そんなんじゃないって!」
「別に良いですけどね、もう諦めてますから」
「美杉・・・ごめんって・・・」
「美杉みたいな外見ならまだ‘守ってあげたい女の子’だけどさー」
「何言ってんの、弥生だって同じでしょ。外見は」
 

活発そうな笑顔の弥生(やよい)と、大和撫子といった風な黒髪の美杉(みすぎ)は
二人とも、小柄の部類に入るだろう。
 
『外見は』と強調された言葉に、佳が小さく吹き出した。
 

「ほんとに外見だけな」
「うっさいわね!」
「・・・中身はコレだからな・・・」
「お黙り」

 
弥生が噛み付くように切り返し、佳は口を閉ざす。
この二人は、会うたびに小競り合いを繰り返している(そして大概、弥生が勝つ>笑)。
 

「でもねー絶対それくらいでちょうどいいと思うよ?ねぇ一行君」
「あ?うん。つーか女の子はそれくらいのが可愛いんじゃないの」
「あたし逆に羨ましいよ、二人とも。ここまで大きいとね、可愛げなんて欠片もないもん」
 

溜息混じりに美月が呟く。今日、ここにいる女性の中で、彼女が一番背が高い。
 
小さい者から言わせればそれは羨ましい限りの悩みだが、やはり無いものねだりがあるらしい。
 

「そこいくと、姉さんは中途半端だな」
「まあねぇ・・・159cmだから」
「ちょっと佳、聞き捨てならないわね!あたしも夕貴と同じなんだけど、身長。
あんた馬鹿にしてるでしょ」
「いや別に」
「てゆーかあんただって充分、中途半端でしょ」
「・・・・・・すいません」
 

周囲には似ていないと言われるが、夕貴と佳は姉弟だ。
その姉に向けられたはずの言葉に、耳聡く反応したのは夏日。
弥生とは全く違う種類の迫力を感じ、佳は素直に謝罪を述べた。
 
そうしている間にも、大量の料理が運ばれ(夕貴が1日かけて作った)、
部屋は一気に祝い事ムードに満たされる。
 
皿などの準備をしながら、ふと弥生が呟いた。
 

「彷徨さんも影時さんもけっこう大きいですよね」
「彷徨君あたしよりちょっと大きい?」
「169cm」
「じゃあ1cm違うのか」
「影時とかこんなかで一番でかいやろー。俺より高いねんし」
「179.31cmある」
「細かっ」
 

既に座って箸を握っていた勇我は、隣に座った影時の真面目腐った返答に思わずツッコミをいれる。
 

「さすが関西人だな」
「それしか能がないだけじゃねーか」
「んな冷たいこと言いなや要。ナル坊もその顔やったら、俺誉めてんのか貶してんのかわからんで」
「誰がナルだ!」
「お前しかおらんやろ☆」
 

ぐっと片目を瞑り、親指を立てて見せると、彷徨は一瞬腰を浮かせる。
が、すぐに脱力して机に崩れ落ちた。
 

「まぁまぁ彷徨さん」
「・・・・・・・・」
 

慰めるようにビールの入ったグラスを手渡すと、彼はそれを一息に飲み干して
もう一度大きく溜息をつく。
 

「結構イケるじゃん。もう一杯淹れてみろよ」

 
火をつけたばかりの煙草を咥えたまま、一行が笑った。
言葉のとおりに美杉がビールを注ぐ。
彷徨はまたそれを飲み干す。
 
一行が笑う。美杉が注ぐ。彷徨が飲み干す。一行が笑う。美杉が注ぐ。彷徨が飲み干す。
 
最早、一行の笑いは爆笑の域に達していた。
何度注いでも、彷徨はカラクリ人形のようにそれを口に運ぶのだ。
 

「やっべーおもしれぇこれ。やめらんねー」
「可哀想だからやめてあげてください」
 

それにしても彷徨も影時も、数十分でもうこの雰囲気に馴染んでしまっているようだ。
彼らに自覚は無いのだろうが、もしかしたら二人とも協調性のある人物なのかもしれない。
 

「彷徨もう飲んじまってっけど・・・とりあえず、要の誕生日を祝って乾杯ー」
「「かんぱーい」」
「あ要、ソース」
「要だっけ。パスタ取って、僕の分」
「誰か近い奴醤油取ってー・・・あ、要の前にあるやつ」
「・・・・てめえらっ自分でやれ!!」
 

全員での乾杯の唱和に続いた3人の言葉に、要が逆上する。
ちなみに上から、星覇、彷徨、勇我だ。
 
一応、今日の主役という立場にありながらパスタを全員に取り分ける作業に追われる羽目になり
彷徨を完全に敵とみなした要は、ぶつぶつと文句を言い始めた。
 

「なんで俺がこんな事・・・だいたいなんでお前いるんだよ」
「拉致されたんだよ、そこの馬鹿に」
 

パスタの盛られた皿を受け取りながら、彷徨は顎で一行を示す。
 

「・・・なんでもかんでも拾ってくんなよ一行・・・犬猫じゃねーんだから」
「全くだ」
 

一行は、捨てられている小動物―――時には人間すらも―――拾ってくる癖(?)がある。
動物ならまだいいのだ。地域の少年少女に託され、元気に育てる事が出来るのだから。
だが、人間の場合はそうはいかない。
といっても、要自身、行き倒れかけているところを彼に拾われたのだから、あまり文句は言えないが。
 

「ある種の依存症か?そういうパターンもあるのか・・・知識と言うのも実は役に立たないものだな・・・」
「突然どないしてん影時」
「いや、少し考察を」
「せんでええがな(笑)」
「頭良いんだなー影時は」
「良いかどうかはわからんが間違いなく悪くはない」
 

きっぱりと言い切る影時に、笑い出す者と顔をしかめる者。
その中で1人、少し違う空気を放つ者がいた。
 

「(なんてこと・・・イイ顔しててガタイも良くてなおかつ頭が良いだなんて・・・かなり高レベルだわ!
ランク的にはA・・・Sかしら?こんなヒットは久し振りね・・・帰ったら早速HP更新しないと!!)」
「お前黒いぞ・・・」
 

怪しい間を取って考えにふけるのは弥生である。彼女の喧嘩仲間的な立場の佳が、その空気を読み呟いた。
 

「五月蝿いわね、心配しなくてもあんたも終わってるわよ!Bだけどね!!」
「何がだよ!?」
「あ。・・・・・・ホホホホ、なんでもないわvvv」
「嘘つけ。どう考えても何でもなくねぇよ」
「しつこいわね、だからなんでもないって・・・っ!?何、今の・・・」
 

引き下がろうとしない佳を切り捨てようとした時、耳障りな音がそれを遮った。
文字で形容するならば『ガシャンっ』というのが最も正しいだろう。
 
驚いた弥生が音のした方を振り返ると、そこには影時がいた。










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影時のキャラってわからん(笑)かなり強力なボケで独りよがりな攻め である事は間違いないと思われます。そして身長。カナちゃんが小さすぎて 可哀想・・。コウとどれくらい違うのか実際計って見てみるとかなり 悲惨で面白いですよ。 byマジコ